3室射手座の海王星なので「三矢子(ミヤコ)」という名前がついています。
着物の柄の矢絣(やがすり)は「矢は放たれたら前に進むしかなく、もう戻ってこない」という意味で結婚の際などに縁起物とされますが、ミヤコもドイツに移住後は二度と日本の地を踏むことはありませんでした(私に生まれ変わって戻ってきたという)。
ネイタル擬人化のキャラクターたちは、元は現実世界に存在した人間でした。
現実世界での生を終えてあの世に戻ると、その性格や果たした役割に応じて太陽組とか火星組みたいな感じでグループに分けられ、次に別の人間として生まれ変わる時に、その人物のネイタル天体を体現するのにふさわしい人格が呼び出されます。
ミヤコは明治時代の呉服屋の娘でしたが、家業を通じて幼いころから外国人や海外の文化に関心を向けるようになり、独学でドイツ語を学んで10代の半ばには通訳や翻訳のスキルで家業を手伝っていました。
その後、商社の駐在員として来日したドイツ人男性と結婚し、日本で産まれた子どもたちと共にドイツに移住します。
その後、夫の急逝や第一次世界大戦などの運命の荒波を乗り越えながら、ドイツの生活に馴染む日本製品を販売する事業を晩年まで手がけました。
文明開化とジャポニズムという、東洋と西洋の人間が互いに異文化に憧憬を抱き、遠い距離を越えて直接交流を図ることが一般的な出来事になった時代でした。
ミヤコは、西洋人がジャポニズムを通じて思い描いた日本文化への憧れの具現化であり、現実には異人種への排他的な扱いを経験しながらも、日本人の美徳と文化を西洋人社会に伝えて調和させるというミッションを成功させました。
東洋文明と西洋文明という対極にある価値観の統合を個人レベルながら実現させたわけですが、外国の文化に触れたいという個人の夢が、多民族の平和的共存という人類社会の目指すべきあり方の一つにたどり着いたその生き方から、夢や芸術・理想や集合無意識を象徴する海王星に選ばれました。
なおミヤコ以前に海王星を担当する人物がいたという事でもあるのですが、先代海王星も日本人(の過去世)でした。
古い時代に生きた知的障碍の浮浪者でしたが、残飯で食いつなぐ暮らしの中でも彼の心は常に幸福感で満たされており、通りすがりの人々に「仏が来た」と拝まれるほどだったそうです。
海王星は忘我の境地やそれにともなう多幸感、ひいては悟りや宗教にも関連付けられます(アウトオブカースト、差別される存在も示します)。
天王星以遠のトランスサタニアン担当は、土星以下の存在にはなかなかコミュニケーションがとりづらいキャラばかりだったのですが、他のネイタル天体と交流が容易なキャラの要望が高まった結果、ミヤコ誕生が設定されたとかどうとか……
新時代のトランスサタニアン担当(候補)は他にもいますが、人種問題のように人類の普遍的なテーマや叡智に関わる過去世です。